どっこいしょ、と抱き上げてみれば存外軽い。
これならまぁ大丈夫かと、ちょうどいい感じに両手を塞いだ。
「?」
「なんか手が寂しくて」
学生時代の――というか、今も多分きっとそうだが――私はちょっとした不思議ちゃん。行動に対して深く理由は追求されない。初めのうちは嫌そうにもがいていた江戸川少年も、しばらく放っておくといつの間にか大人しくなっていた。
「なんのつもりだよ…」
「いやほんと、なんか手元が寂しくって」
がいれば手でも繋ぐんだけど…というのは独り言。招待客でもない従僕が傍にいないのは仕方がない。
カメラクルーの邪魔をするわけにもいかないし。
「無自覚か? こいつ……性質わりー…」
「なに?」
「なんでもねーよ…」
探偵君の高すぎるくらいだったプライドは、ここ最近の小学生生活で大分丸くなっているだろうという心算。たとえそうでなかったとしても、子供が必死にどうにもならないことをどうにかしようとばたついているのを見るのは面白かった。
なんだかどうにも微笑ましくて。
「ぬいぐるみ買おうかな…」
「その歳でかよ」
「黒いソフトレザーとかよくない? 赤目で、プレイボーイのロゴみたいな顔したウサギ」
「俺に相談すんな」
「今度ぬいぐるみのお店一緒にいこー?」
「冗談だろ…」
からかい半分。半分は本当に本気だった。たまには姉弟水入らずの外出もいいのではないだろうか。
「新一」は何かと多忙で付き合ってくれなかったけど。江戸川少年は結構暇そうだし。
「おねーちゃんがお昼を奢ってあげるから」
問題は、をどう納得させるかだ。
(いつか今度の約束/魔女と探偵。でーと)